株式会社清和物産

糖尿病(2)



糖尿病の2つのタイプ

糖尿病には、インスリン依存型とインスリン非依存型の2つの大きな病型があります。この区別は、インスリン依存性、すなわち治療にインスリン注射が絶対必要であるか否か(裏返せば、インスリン分泌が極端に低下しているか否か)という臨床的観点からの分類です。  

インスリン依存型糖尿病はインスリンが絶対に必要で、インスリン治療をしない場合は、いちじるしい高血糖とケトアシドーシス(糖尿病性昏睡の病態)という大変重篤な状態におちいり、生命の危険にさらされます。

多くは20歳以下の若年者で、急激に発症し、治療経過中、血糖の動揺がはげしく、感染症などを契機にしばしば脱水や、血中ケトン体が増加して、血液が酸性化するケトアシドーシスがみられます。  

特定のHLA型の人がかかりやすいと考えられ、病因としては自己免疫が重視されています。  

インスリン非依存型糖尿病は食事療法、または経口血糖降下薬だけで治療可能で、必ずしもインスリンを必要としません。膵臓からのインスリン分泌がケトアシドーシスへおちいるほど枯渇していないわけです。糖尿病の95パーセント以上はこの型です。  

肥満をともない、中年以降に検診などの際に偶然発見されることが多く、遺伝性は前者より濃厚です。この型も先々インスリン治療に移行することがありますが、それはあくまでより良好な血糖コントロールを得るための治療法の選択で、インスリン依存性のためではありません。



糖尿病の症状と早期発見

初発症状は病型により、いちじるしく異なります。一般にインスリン依存型糖尿病は急激な発症を示し、腹痛や悪心、嘔吐、のどの渇きが強く、多飲多尿を訴えます。  

小児では元気がなく、体重は数日で5キログラム以上減少することもまれではありません。  外科的疾患が疑われ、腹部手術に回されることもあり、診断が遅れると昏睡におちいり危険です。この際は大きな速い呼吸で、甘酸っぱいアセトン臭を放つことが特徴です。  


血糖はかなり高く(通常1デシリットル当たり350ミリグラム以上)、尿ケトン体陽性で、血液の酸性化(pHの低下)および脱水による濃縮、腎機能低下(血中尿素窒素やクレアチニンの上昇)などにより診断されます。  

一方、インスリン非依存型糖尿病は、検診や保険加入の際に偶然発見されるような無症状のものから、のどの渇きや多尿、易疲労感、体重減少、あるいは外陰部のかゆみなどで、糖尿病がみつかることも少なくありません。


糖尿病の検査

■血糖値と診断基準  

糖尿病の診断は、高血糖と特徴的な身体症状からつけることができます。朝食前(空腹時)の血糖が1デシリットル当たり140ミリグラム以上であるか、食後の血糖値で200ミリグラム以上の値が少なくとも2度確認されれば、糖尿病と診断されます。  

疑わしいときは、75グラムのブドウ糖を飲んでブドウ糖負荷試験を行ない、2時間後の血糖値が1デシリットル当たり200ミリグラムを超え(糖尿病型)、口渇や多飲多尿、体重減少などの症状をともなう場合、糖尿病と診断できます。  

この2時間値が200ミリグラム以上という基準は、疫学的研究結果に基づいており、この値以上の高血糖を示す群に、将来、糖尿病に特有な網膜症や腎症の発症率が高くなることから決められたものです。


■(糖化ヘモグロビン〈HbA1またはHbA1c〉およびフルクトサミン)

ブドウ糖は体内のいろいろの蛋白質と結合する性質があり、これを糖化といっています。赤血球の酸素運搬体であるヘモグロビンも血液中のブドウ糖と結合し、糖化ヘモグロビン(HbA1またはHbA1c)となります。糖化ヘモグロビンの形成は、長期にわたって血糖値が高い場合に増加するので、赤血球の半寿命(約60日)に相当する期間の、平均血糖値を示すと考えられます。 このときに、血漿蛋白も糖化され、フルクトサミンが生成されます。

血漿蛋白の平均半寿命から、こちらは過去1〜2週間の平均的血糖値を表わしています。血糖値そのものは検査の一時点における値ですが、 HbA1、HbA1cやフルクトサミンの値は、過去の一定期間における血糖コントロールの良否を反映する長期の指標として有用です。  

したがって、血糖検査前に作為的に食事を抑えて、血糖値が正常だったとしても、日ごろのコントロールがわるければ、これらの検査は異常値となります。

■(ケトン体)
 
インスリンの不足がいちじるしいと体脂肪の分解がおこり、遊離脂肪酸が多量に放出されます。これは肝臓でケトン体(アセト酢酸、β‐ヒドロキシ酪酸、アセトン)に変わり、血中に増加するとともに、尿中にも出てきます。  

血中ケトン体の蓄積がいちじるしく、血液の緩衝能を超えて酸性に傾いた場合をケトアシドーシスといい、昏睡などの危険な症状を招くことがあります。糖尿病患者で、血液あるいは尿中のケトン体が増加した場合は、インスリンの高度の欠乏状態を示しています。



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