株式会社清和物産

イセエビは長寿のシンボル

           


 エビやカニなど甲殻類の仲間は約6500種類も棲息している。食用になるサクラエビやアマエビ、クルマエビなどはわずか2〜3年の短命である。ところが、イセエビは25年から30年もの長寿を誇る。

  イセエビの都々逸に「海老の子は、生まれながらにヒゲをはやし、腰に梓の弓を張り、目が出目、めでたかりけるしだいなり」という、一節がある。
 甲殻類の代表であるこのエビの甲羅は、あたかもよろいかぶとを身につけた古武士のようなりりしさがあり、ピンと張ったヒゲや腰回りが立派である。

  甲羅の柔らかいエビ類は陸に上げるとすぐに弱って死んでしまうが、イセエビは丈夫で長持ちし、夏でも涼しいところでは2日ほど、冬の寒いときには暖かいワラやモミガラの中に入れておけば1週間も生きる強さがある。小魚やタコ、イカの仲間、それに同じ甲殻類のカニなどとは比較にならないほど生命力がある。地上に上がったカニは酸素を吸おうと苦しまぎれにアワを吹くが、イセエビもまた同じようにいくらかアワを吹き出す。それでも空気中の呼吸回数が少なく、体内に酸素をストックできる秘密がありそうだ。

  エビは数十メートルの深い海の底で、約40〜50万個の赤く少し朱色がかった卵を産む。孵化したばかりの赤ちゃんは「フィロゾーマ」と呼ぶ3ミリほどのプランクトンになる。それは親の姿からは遠くかけ離れ、クモのように足が長く、そのくせ目が大きく左右に飛び出して、カマキリのようにも見える。このフィロゾーマは海底の卵から勢いよく飛び出て、海面上で浮遊生活を送るが、孵化の時間帯は外敵の少ない夜間が多い。クルマエビは1、2年で20センチ前後にまで急成長するのに対し、イセエビは1年でやっと3センチ、食用となるには少なくとも5、6年は必要だ。

  名前の語源は諸説あるが、イセという名がついていても伊勢では獲れなくて、鳥羽、志摩地方が本場である。このエビを伊勢の商人が買い取り、都に送った話や、生命力が強く威勢のよいという縁起からイセエビともいわれる。「海の老人」の意から海老と書くものうなづける。

 

◇◇ その他の項目 ◇ ◇
イセエビは長寿のシンボル ミズスマシの目は生物イチ
ツルは千年、カメは万年 渡り鳥のエネルギー効率はコンピュータ並の正確さ
バランスのよい食事と睡眠が百獣の王の秘訣 くじらの世界では老を敬い、幼きを守る
豊かな食性やストレスをためない泳ぎ方が長寿の秘訣 虫も食わぬ汚染米
少量なら酒は『百薬の長』 ホタルの光はダテではない
魚たちは夏バテ知らず 人間も動物も睡眠・運動・休養・食事そしてストレス解消が健康の秘訣