株式会社清和物産

                                                             


免疫とは何か
  現代免疫学は、牛の乳搾りをして牛痘に感染した人たちは天然痘に感染しない、ということに気づいたジェンナーが、1796年に、予防接種を行なったことに始まります。

 このように、1度感染を経験すると、同じ感染に2度はかからないという現象を、病気を免れるという意味で、免疫といいました(狭義の免疫)。

 ところが病原体以外の異種蛋白が生体に侵入した場合も、免疫現象がみられます。

  たとえば輸血をしたり(とくに異型輸血)、皮膚移植(同種移植)などをした場合です。

 今日では、生体が自己と非自己を識別し、非自己を排除しようとする過程をも免疫と考えます。 (コラム:自己免疫病)
  この免疫は、体液性免疫と細胞性免疫に区別されます。

 生体のなかでは、体液性免疫と細胞性免疫が互いに関連して生体防衛をしていますが、つねに生体を守る有利な反応だけであるとはかぎらず、逆に傷害性に作用することもあります。
この生体に不利な反応をアレルギー(過敏症)というわけです。

  体液性免疫  これは血清中の抗体です。
この抗体は、毒素の中和作用のほか、細菌活動を弱くする細菌の凝集作用があります。

 そして、これに血液中にある蛋白質の1つである補体が結合すると、細菌は溶けたり、細菌を食べてしまう食細胞(マクロファージ細胞)により処理されます。
この抗体のことを一般に免疫グロブリンといい、次のような種類とはたらきがあります。

  免疫グロブリンA(IgA)は、のどの表面、腸の内側、気管支の内側の壁などの粘膜表面に存在し、侵入してきた病原菌やウイルスなどの抗原(アレルゲン)と結合して、その侵入を食い止めるはたらきがあります。

 免疫グロブリンG(IgG)は、侵入してきた病原菌やウイルスなどの抗原と結合して、白血球がそれを食べてしまうのを助けたり、ウイルスや細菌が出す毒素と結合して、無毒化します。  

  免疫グロブリンM(IgM)は、補体という蛋白質と共同して病原菌やウイルスなど、抗原を破壊したり、白血球がこれらを食べるのを助けます。  免疫グロブリンD(IgD)は、そのはたらきが現在のところよくわかっていません。

  ところが、免疫グロブリンE(IgE)は、今まで述べた免疫グロブリンのように免疫反応をせず、抗原抗体反応で、傷害性にはたらきアレルギー反応をおこしてしまいます。

 また、免疫グロブリンE以外の抗体もかならずしも免疫とはならず、ときに抗原抗体結合物(免疫複合体ともいう)の沈着による腎炎や血管炎をおこすこともあります。

  細胞性免疫  細胞性免疫は、白血球の1つであるリンパ球による標的(侵入してきた病原菌やウイルス、発生した腫瘍などの抗原)への直接攻撃作用をするもので、この際抗原は細胞膜上に存在することが多いとされています。

 細胞性免疫反応であるツベルクリン反応は、結核陽性者のリンパ球を体内に入れることにより受身伝達が可能です。

 細胞性免疫は、細胞内寄生体、ウイルス、腫瘍細胞などに対する免疫反応のほか、薬物アレルギーの一部、移植免疫、自己免疫疾患の一部に関係しています。

 このほかに、腫瘍細胞にはたらくNK細胞(ナチュラルキラー細胞)という特殊なリンパ球も知られています。


 


アレルギーとは何か

  細菌、ウイルス、花粉など異種蛋白が体外から侵入したり、自己抗原といって自己体内に抗原物質が生じた場合に、免疫反応がおこります。

  免疫反応は生体にとって有利に作用する場合は生体防衛的にはたらき、不利に作用する場合は組織障害をおこします。

 後者をアレルギー(過敏症)といい、その発生のしくみにより、Bリンパ球が産生する抗体が関係する場合と、抗体に関係なくTリンパ球の反応(活性化)が関係する場合とがあります。

 アレルギー反応のおこり方  抗原に前もって感作された生体が、再度、同一抗原と接触したとき、アレルギー反応が最大に達する時間は、抗体の関係する反応では30分から数時間であるのに対して、Tリンパ球による反応では、24〜48時間を要します。  

   この反応時間の差から、前者を即時型アレルギー、後者を遅延型アレルギーともいっています。  抗体は、免疫グロブリンA・G・M・D・Eのいずれかであり、抗原の種類によって産生される抗体の型は異なります。


I型アレルギー

  このうち、免疫グロブリンE抗体の産生を刺激する抗原は、アナフィラキシー型反応(I型アレルギー)を誘発しやすいのです。

 こういう人たちは、遺伝的、体質的に免疫グロブリンE抗体(レアギン抗体ともいう)の産生しやすい人で、とくに問題となるアレルギー反応です。

 このような抗原(アレルゲンともいう)に反応しやすい家族性、遺伝性の過敏状態をアトピーといいます。

 この反応のおこるしくみは、免疫グロブリンE抗体が肥満細胞に結合し(細胞親和性抗体)、これに外来性の抗原が結合すると肥満細胞は破れて、なかからヒスタミンなどのアレルギー化学物質が放出され、からだの各所にある平滑筋の収縮と粘液の分泌亢進などがみられます。

 たとえば、気管支では平滑筋の収縮で気管は狭くなり、そのなかでたんが多くなります。

 家族性、遺伝性で免疫グロブリンE抗体の多くなるアトピー疾患の代表的なものは、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎であり、これらは免疫グロブリンE抗体と抗原の反応という基本的現象が共通しています。そして、その反応の舞台となる臓器が異なるだけです。  

  このアレルギー反応は、抗原の種類、侵入経路、季節、年齢、体質、遺伝的背景が複雑に関係しています。

 小児では気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎が多いのに対して、成人ではアレルギー性鼻炎がよくみられます。

 なお、免疫グロブリンE抗体は、このようなアトピー疾患のような不利な作用のみを示すのではなくて、ある種のウイルスや寄生虫の感染に対して防衛的にはたらいています。



II型・III型アレルギー

  細胞表面に存在する抗原に、免疫グロブリンG・M抗体が結合した場合、その細胞は破壊されます。これを細胞溶解型反応(II型アレルギー)といい、溶血性貧血、血小板減少症、重症筋無力症など自己免疫疾患の一部の成因となっています。  

また、免疫グロブリンG・M抗体が、細胞外で抗原と結合して免疫複合体を形成し、血管壁などに沈着して組織障害をきたすことがあります。これをアルツス型反応(V型アレルギー)といいます。  この免疫反応は、血清病、腎炎、全身性エリテマトーデスの成因となっています。



IV型アレルギー

  I型・II型・III型アレルギーと異なり、抗体とは無関係です。Tリンパ球が抗原をもつ標的細胞を直接傷害したり、抗原との反応を通じて、リンホカイン(抗原刺激などによって、リンパ球より放出されるさまざまな生物活性を示す可溶性物質)を分泌します。これを介しておこる組織障害性をツベルクリン型反応(W型アレルギー)といいます。  

  この代表的な障害には、接触性皮膚炎、過敏性肺炎、同種移植拒絶反応などがあります。 抗原とアレルギーの型  アレルギーの原因となる抗原の種類には、食物性(いろいろの食品)、薬物性、動植物性(動物の毛、虫、細菌、ウイルス、花粉など)の区別がありますが、アレルギーの型と抗原の種類とは1対1の関係ではありません。

 たとえば、薬物アレルギーについてみると、ペニシリンショックはI型アレルギー、薬物性肝炎はIV型アレルギー、薬物による溶血性貧血はII型アレルギーというようにさまざまです。

 


腸内細菌はアレルギーにも深く関係しています。

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